Kindleインディーズで考えた、これからの漫画家の生き残り方

※2021年に書いた記事を少し手直しして載せています。

おいっす、オイラだよ。
今回はちょっと堅めの話です。最近考えていることをつらつら書いてみます。先にWebで活躍している作家さんたちからしたら「今さら?」な話かもしれませんが、オイラは気づいたときけっこうショックだったので。
話してもあんまり得はないんですが(せいぜい「ゴイスーゴイスー」って言ってもらえるくらい)、友達としてつながっている才能ある作家のみなさんの耳には入れておきたいなと。屋乃の与太話くらいに聞いてください。
整理しきれてない話なので、読みづらくてもマジ勘弁って感じで。

Kindleインディーズがすごい

さて本題。最近キンドルインディーズに力を入れているんですが、これがけっこうすごいんです。
2018年くらいに始まったサービスで、存在は知っていました。でもなんとなく胡散臭いというか、どうせすぐ終わるでしょと思って手を出していなかったんです。手元に自由に出せる作品もなかったですし。
それが今年、納豆まぜお先生から「キンドルインディーズいいですよ」と聞いて、暇だったので速攻で登録してみました。
たぶん僕はWebマーケティング的に、TwitterからKindleに流すやり方が向いていたんだと思います。初月から生活できるくらい稼げてしまいました。すごい。
自慢です。いやうそ、自慢じゃないです。すごいのはAmazon。やばい。

川尻こだまショック

で、調子に乗っていたら4月頭に「川尻こだまショック」(と僕が勝手に呼んでるだけ)が起きました。日記漫画で一世を風靡している川尻こだまさんが、キンドルインディーズに参戦してきたんです。やばいです。
何がすごいって、僕がヒーヒー言いながら評価1000超えた!やったやった!とか言っていたところに、参戦して数日で10000を超えるレーティングを獲得しているんです。読んだ人全員がレーティングするわけじゃないので、実際はその何倍も読まれているわけです。

なんでビビっていたかというと、このサービスは決まった額を、参加者の間で読まれた量に応じて分ける仕組みになっているからです。つまり川尻こだまさんが荒稼ぎすると、僕らの取り分が減るんですな。
というわけで4月5月は青息吐息で、確実に分配額は半分になるなあと震えていました。ところが、今日分配額確定のメールが来てびっくり!全然減ってない。

分配じゃなくてページ単価なのでは?

念のため、分配金÷ダウンロード数で計算してみたら、川尻こだまさんの参戦前とほぼ同じでした。というか、多少の増減はあっても参戦後の分配率がほぼ一定なんです。
あれ?もしかして「分配」は建前で、実は1ページあたりの単価が決まってるのでは??
額が増えたり減ったりするのは、途中で読むのをやめたり、おまけページを読まずに閉じたりする人がいるから、1ダウンロードあたりの金額が一定じゃないだけなんじゃ??
(Aさんの1ダウンロード→20pで脱落=20p分の分配額、
 Bさんの1ダウンロード→50p読みきる=50p分の分配額
 数字の上では2ダウンロードでも、受け取る額は変わる、みたいな感じ)
川尻こだまさんが分配金の基金に登録し忘れたうっかりさん、という可能性もゼロではないですが、したたかな方っぽいのでそれはないかなあと。

Amazonは何を狙っているのか

長々書きましたが、ここからが本当の本題です。(さっきも本題って言ってなかった?)
キンドルインディーズ、いくらなんでも変です。やばすぎです。
川尻こだまクラスのバケモンが入ってきたら、分配額を少し増やして対応するのかなと思っていたら、実はページ単価になっていて(仮説)、他の参加者を圧迫しないようにしている。
今のところ、Amazonにメリットがないんです。今のところは。
じゃあ将来どんなメリットを取りにいっているんだろう、と考えてみました。

ここでまた横道にそれます。アメリカにウォルマートという巨大スーパーがあって、僕も聞きかじりなので詳しくはないんですが、その戦略がこんな感じだったらしいです。
・ある地域に出店する
・その地域の相場の半額以下みたいな超格安で売る
・地域の商店がひととおり潰れたら、値段を正規に戻す
・職を失った人たちはウォルマートで働くようになり、商店もないので買い物もウォルマートでするようになる→完全搾取システム完成!

話を戻すと、Amazonが狙っているのもこれに近いことなのかなと。
たぶん、実質的な読み放題サービスを5年10年のスパンで考えて動いている段階なんじゃないかと思います。
ネットに強い一流の作家さんが入ってくるのを狙って、門を開けている状態なんじゃないかなと。
具体的に名前を出すと、山本崇一郎先生とか、コトヤマ先生とか、石田スイ先生とか、いかにも面白半分で参加してきそうです。
ちなみに山本先生はもう落書きまとめを出しています。あの生産力なら漫画も面白半分で出しそう。
川尻こだまショックはその流れの一部なのかなと。
そういう読み放題サービスがAmazon主導で完成して、今の出版業界の仕組みがめためたに崩れる。崩れたあとで作家への分配を絞る。みたいなことをしそうで、怖いですね。

漫画だけ高いままはいびつ

とはいえ、音楽はほとんど無料になり、映画もほとんど無料になり、今まで考えもしなかった娯楽(YouTubeとかTikTokとか)が生まれてそのほとんどが無料で見られる。その中で漫画だけが高いままというのは、どうしてもいびつだと思うんです。
漫画もゆくゆくは定額になっていくんじゃないかなあと。
正直、漫画業界は音楽業界から15年、テレビ業界から5年くらい遅れて同じような問題が起きている気がしています。そのへんを細く長い目で見ていると、業界の今後も見えてくる気がします。
音楽業界はナップスター問題などで違法ダウンロードがはびこった末に、CCCDというCDじゃないものをCDとして売って醜態をさらしました。
テレビはテレビで「YouTuberなんてテレビの真似事だ」と笑っていた舌の根も乾かないうちに、YouTuberの真似事を始めました。
評価経済なんて言ったりしますが、この流れの加速はもう止まらない気がします。
今の出版社が生き残るには、会社の垣根を越えた読み放題の仕組みをAmazonより先に作ることが急務だと思います。でも無理でしょうね。

それでも楽観している理由

なんだか絶望的な話ですが、僕自身はわりと楽観しています。
なんか楽しそうだからです。実際、今楽しい。
それには、一昨年と去年にとある一流出版社で本を出したとき、ありえないほどひどい目にあって「もうあんな編集部潰れりゃいいのに」と思っているのもありますが…。
あれはあれで、過渡期のしわ寄せが(なぜか)僕に来たケースで、業界の変動の一部ではあると思います。
出版社か外資かの違いだけで、結局は大企業からおこぼれをもらって生きていくしかないわけですが、僕としては
・完全な読み放題サービスができる前に、ある程度の知名度を作る
・読み放題サービスからはじかれても支えてくれる濃いファンを作る
このへんが課題かなあと思っています。
Vtuber化したのもその一環だったりします。正直、「コンテンツを作る」ことで稼ぐのはもう分が悪くなってきていると感じています。そのへんの話はまた気が向いたら。
まあ古い人間なので、雑誌に未練はあるんですけどね。それが唯一の問題。

長々と整理しきれていない話を失礼しました。
じゃあの。

僕の漫画はyanomanga.comで読めます。

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