※2021年に書いた記事を少し手直しして載せています。
前回→連載打ち切りでTwitterに全振りした話|ぼくとおばけとクソサイト①
続き)
すごく雑に言えば、その雑誌の編集長がウンといえば連載になる。だから粘り腰で行こう、と決めました。
編集部のしくみと「確実なルート」
編集部のシステムは詳しくはよく知りませんし、編集部によって違うと思いますが、だいたい「編集長」「副編集長」「デスク(班長)」「ヒラ」で構成されていて、この順でえらいです。
担当がヒラ社員の場合、担当のOK→デスクのOK→副編集長のOK→編集長のOKが取れれば連載になります。非常にコストが高い。
でも確実な方法なので、これで行くことにしました。
結果、1年かかりました。
担当が熱心で即レスされるので、こちらもすぐにネームを直さなきゃいけない。細かい直し→細かい直し→ちゃぶ台返しでボツ、またネームを書いて細かい直し→細かい直し→ちゃぶ台返し。えんえんと続く賽の河原。
そのあいだに友達はバズってフォロワーをつけて、そこから連載になったりしました。
僕の手元にはボツネームしかない。
余談ですが、Twitter運用を始めて1年くらいで35000フォロワーになったので、連載を取るしんどさ=35000フォロワー集めるしんどさ、と雑に測ることができます。向いていない僕でもこれだけ集まってもらえたので、たぶんみんなできます。しんどいけどね。
雑誌志望がWEB連載になった話
しかしまあ、問題はここからです。
僕は雑誌を志望していたのですが、担当が「WEBのほうが良い気がする」と言うので、「じゃあWEBで」となりました。
そこがまあひどかった。
まずページビュー(閲覧数)がとにかく低い。見ている人が圧倒的に少ない。次にコメント欄が荒れすぎ。新連載が始まるととにかく叩く風土ができている。2度の原稿料未払い(回収できたので正確には遅延)。これは論外。ランキングがあるけどバグって反映されないことがよくある。原稿を渡してあるのに編集部の都合で勝手に休みにされて、しかもそのアナウンスをまったくせず批判が全部俺に来る。急に1枚イラスト描けと言ってきて締切が3日後。書店まわりをしようと思ったら止められる。ここで俺は見切りをつけました。
思いつくだけ列挙したけど、実際細かいのはもっとあると思います。雑誌の体をなしていませんでした。
見ていない問題とコメント欄荒れ
まず人が見ていない問題。連載を始めたとき、初日の閲覧数を見た担当から「閲覧数〇〇で上々の滑り出しです!」とラインがきました。正確な数字は出したらまずいと思うので出しませんが、びっくりするほど少ない。20倍でもジャンププラスだとランキング下位だと思います。それがそのサイトではランキング1位。驚くほどだれも見ていないサイトでした。
コメント欄荒れすぎ問題。
これに関しては僕も悪い。荒らしのコメントに反応したせいで、標的にされてしまいました。
明らかに悪意のあるコメントだったし、「作家が何も言えなくなる状況」は健全じゃないな、と思ったので言いました。
それから延々と僕への中傷コメントが連載終了まで続きました。いや、連載終了後もです。僕はもう見切りをつけて見ていませんでしたが、連載終了してから半年後になんの気なしに覗いたら、まだ僕の悪口を書き込んでいました。僕のTwitterを見て実況しているらしい。さすがに担当に言ってコメント欄を閉じてもらいました。
連載中はまあ僕の責任でもあるし、あまんじて受け入れました。
僕のコメント欄を閉じたら他の作家に飛び火するかも、と思ったのもあります。
コメント欄は僕の連載前から他の作品でも荒れていたし、僕が標的になってからは、他作品ではむしろ沈静化していました。
僕が表立って叩かれることで他の人が連載しやすくなるなら、まあそれもいいかと思いました。ちょっと自分をよく言いすぎている感もありますが、本当にそう思っていました。
そういえば、まだ連載続いている先生方から感謝の言葉をいただいていませんね?
管理されないコメント欄
他サイトではコメント欄は編集部(か下請け)がチェックして、誹謗中傷のようなコメントは削除しています。管理できる人員が割けないサイトはそもそもコメント欄がありません。けれどこのサイトは、管理する気がないコメント欄が存在していました。
pixivはコメント欄でひどいものがあったら削除できるし、Twitterは削除できなくてもミュートやブロックで対応できます。
こういうことをすると「検閲だ!」と騒ぎ立てる人がいますが、コメント欄はレストランと同じなので、態度が悪いお客さんには帰っていただくしかないし、ゴミや汚れは掃除してきれいに保つ義務があります。それが善良な他のお客さんのためでもあります。
でもこのサイトは管理もしないくせに、こちらにもコメントの編集権限がない。中傷コメントを書かれたら書かれっぱなし。無法地帯。
岡田斗司夫さんの動画を見ていたら、「漫画家は繊細な人が多いから、編集者はファンから送られてきたファンレターを、本人に渡しても大丈夫か入念にチェックしてから渡している。些細な表現でも痛烈に傷つくことがある。それから作家を守るのも編集者の仕事」みたいなことを言っているのを聞いて悲しくなりました。
(ヒロアカ炎上の話のときに言及していた記憶だったのですが、該当動画は見つかりませんでした。たまに僕のなかで岡田斗司夫ブームが来るときがあって、ひたすら見る時期があるので、また見つけたら貼ります)
なぜそうまでして守ってくれる編集部があるのに、僕はこんなに悪意にさらされているのか。あのサイトは2ちゃんねるであって雑誌じゃないんだな、と理解しました。荒らしと対話をすることは諦めました。
あと驚いたことに、作家の中傷は消さないのに、編集部への文句は速攻で削除していました。これには荒らしも驚いていました。初めて荒らしと意見が合いました。
編集部を擁護すると(別に擁護にもなりませんが)、おそらくサイト自体は下請けが管理していて、「編集部のミスに関する指摘は報告の上削除」みたいな決まりがあらかじめあったのだと思います。その結果「作家への罵詈雑言は放置して、編集部の批判はすぐ消す」みたいな意味不明な体制ができあがっていました。
ずいぶん経ってから担当から「コメント消してもいいですけど」みたいなのがあるにはありましたが、もう遅い。こっちはすでにおびただしい中傷を受けているし、そもそも僕の連載開始前からコメント欄が荒れていました。その時点でおかしい。
今コメント欄に手を入れたら「検閲だ!」とか噴き上がるのは容易に想像できるし、最悪他の作家のところを荒らすようになったら厄介。僕じゃなかったら受け止めきれないかもしれません。
原稿料未払い。これに関しては言い逃れができないほどひどい。僕の落ち度ゼロ。ランキングバグはしらん。とにかくちゃんとやってくれ。
勝手なお休みとイラスト強要
・原稿を渡してあるのに編集部の都合で勝手に休みにされて、しかもそのアナウンスをまったくせず批判が全部俺に来る。
・急に1枚イラスト描けと言ってきて締切が3日後
これは分けたけど同時に来ました。要は年末進行で編集部をお休みにするので、ということらしい。「一回お休みにして、代わりにイラストを載せるのでください。イラストの締切は3日後です」ときた。いやかわりってなんだ?こっちはもう原稿渡してある。
ひと月前に言われてたらスケジュール組めるのに。
僕「一回休みはわかりましたが、連載が始まってカツカツなのに、そんなイラストにかけてる時間なくないですか?ただでさえコメント欄荒れてるし」
担当「荒れたコメント欄はクオリティでねじ伏せるしかありません!」
僕「いや、だからこそ今イラストなんか描いてる暇ないでしょ!本編のクオリティ上げるのが最優先じゃないんですか?イラストで荒らしが黙るんですか?」
担当「…」
ってな感じのやりとりがありました。
僕はスケジュールを崩されるのが本当に嫌いなので、本当に腹がたちました。「他の連載作家さんもみんなやるので」とやらざるを得ない状況だったので描きました。渋々やった割にはちゃんとした絵を描いたものだと思います。
しょうがないから描いた。描かなきゃよかった。
でもそれだけじゃ終わりません。
更新日、なんのアナウンスもなく僕の絵だけ載りました。
唖然としました。
僕はてっきり「年末年始なので一回分お休みです、クリスマスプレゼント/お年玉として特別イラストを連載陣に描いてもらいました!」みたいなアナウンスがあるものだと思っていました。
というかまともな神経なら書く。でも僕の絵だけ載った。意味がわからない。
案の定コメント欄が我が意を得たりとばかりに荒れていました。「落とした」だなんだ不名誉なことを言われました。「落とす」とは締切に間に合わないこと。
何度も言うけど僕は原稿をすでに渡しています。
僕が更新の先頭だったので、まあ戸惑うのもしょうがないかなとも思います。
しょうがないので僕のTwitterからアナウンスしました。「今回は年末年始で編集部がおやすみなので、1回分お休みです。合併号みたいなものです」と言いました。
そしたらコメント欄が「責任転嫁してる」だなんだ荒れに荒れました。
僕は通常の原稿を描いてすでに渡して、勝手に休みにされて、描かなくていいはずのイラストを描いて、しなくてもいいはずのアナウンスまでして、それで責任転嫁?意味がわからない。
家のおばけと家出
ちなみに問題はこれだけじゃなく、家庭的な面でもありました。
家によくおばけが出て、僕に意味不明な攻撃を受け続けてきていました。(濁しているので察してください)
おばけは意味不明な理由で「成仏します」と別れを告げてきて、引き止めても聞きません。
「じゃあもういい、これで終わりね」といってお別れして、いなくなったと思ったら1〜2時間して戻ってきて、寝ている僕の枕元でメソメソ泣きながら「ごめんなさい」とかぶつぶつ唱え続けられました。まじでおばけかな?
すごく腹がたちました。ただでさえ雑誌のやり取りで疲弊しているのに。
「君が出てかないなら僕が出てく」と言って家出ました。
家出先でネームを練ることにしました。
そのとき急に担当からかかってきた電話が、上記の「イラスト描いてください」です。
本当に四面楚歌でした。なにかに取り憑かれてたんじゃないかと思うほどしんどい日々でした。(おばけはいたけど。)あそこで病んで筆を折ってもおかしくなかったし、人によっては最後の手段に出る人もいたと思います。
でも僕は病みませんでした。
「ああ、僕、漫画家だ」
家出先のターミナル駅。読者は荒らししかいなくて、編集も味方じゃない、癒してくれるはずのおばけも話が通じない。
そんな状況で、深夜に陸橋を渡りました。もうほとんどのお店が閉まっていて、寝床を求めてマンガ喫茶に向かうところでした。
車通りも少なく、街は死んだみたいに静かでした。
「ああ、僕、漫画家だ」
唐突に思いました。
みんな眠ってしまった深夜に、僕はひとりでこんなところを徘徊している。作業をするために喫茶店やらファストフード店やらを転々としている。それはおばけのことがあったからだけど、僕が漫画家じゃなかったらホテルにでも止まって缶ビールでも開けていればよかったはずです。僕が浴びた意味不明な悪口雑言も、僕が漫画を描いていなかったら向けられることはなかったものです。
僕は漫画家だ、やっていける。根拠はないけど、つよくそう思いました。


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